【考察】鬼滅の刃 「鬼」について感じた作者からのメッセージ

鬼滅の刃で出てくる「鬼」について感じたこと

このアニメのストーリーの興味深さを引き立てているものの一つに「鬼」に対する描写が挙げられると思います。
かつては人間だった彼ら。特に、死に際に出てくる人間の頃の回想の数々。
炭治郎は、妹が鬼になったという境遇もあり、自分が戦う鬼の想いにも寄り添うというシーンは、随所に見られます。
このアニメの大きな特徴で、感動のシーンも多いです。

 

戦争や犯罪に対するメッセージ(彼らは「人間」だった)

私はこのシーンを初めて見たとき、これは戦争や犯罪に対するメッセージも含んでいるのではないかと思わずにはいられませんでした。

わかりやすく言うなら「鬼=敵国の兵士」です。

戦争では、敵国の兵士は敵であり、倒すべき対象です。倒さなければ自分の命が危ないので、倒すしかないと思います。

でも、そうやって「敵」である兵士も、戦うために生まれてきた別の特別な生き物ではなく、家族もいて、いろんな思い出も持っている、ただの普通の人間です。

ただし戦争のときは、敵国の兵士を「戦うために生まれてきた別の特別な生き物」として扱ってしまいがちだと思います。例えば、シリアの内戦などで戦っていて、時に多くの人を殺しているような兵士に対して、近くに住んでいる普通の人と同じような印象は持たないことが多いと思います。

でも、そんな残虐なことをする兵士も人間であり、家族もいて、赤ちゃんだったり子どもだった時代もあります。
残虐なことをする兵士に同情・肯定するわけではなく、ダメなことはダメなのですが、その前に、大前提として「みんな平等に普通の人間である」ことを、時に人々は忘れがちなのではないでしょうか。

そういったメッセージが、鬼滅の刃のストーリーに含まれているような印象を受けました。

普通の人間として周りと同じように、また、周りと仲良く生きたかったが、周囲の人に受け入れられず、苦しみに耐えかねた結果、鬼になることを選んでしまった鬼などもいて、犯罪に手を染めたり、テロ組織に加担してしまう人々の境遇でよく聞く話でもあるなと感じました。

このように、戦争や犯罪を犯す人々に対する見方、戦争や犯罪を減らしていくにあたっての考え方などにおいてのメッセージが、鬼滅の刃のストーリーの中から読み取れると感じました。

もちろん、友情や兄弟の愛情など、他のメッセージもあるかと思いますが、一つ、自分なりに印象に残った点について、簡単な考察を書かせていただきました。